10月19日 蟻
「さようならまた来週ね」
電話が鳴った。 話し終わって振り向くと5年生の男の子はまだいるではないか。
「どうしたん?」 「なぞの生物発見 、僕通れへん」 一緒に階段を下りる。
蛾、 が1匹ドアの向こうに止まっている。
彼にとって世界で1番怖い生物であった。
夏の夜暗くなったらでてくるので明るいうちに帰っていた。 もう秋になって安心していた矢先だった。
「ドアの向こうだから怖くないよ」 と言うと一目散で帰っていった。
ピアノの部屋には今年採集した蝶の標本が何ケースも置いてある。 彼がそれを見つけたら大変だ。 なんとかしなければ。
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